【自然ビト04】そこにあるもの、すべてが自然だ/低山トラベラー大内征(後編)
公開日test:20201030作成日test:20201129
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『文脈登山』について語っていただいた前編記事はコチラ! 川遊びからはじまった、山との接点 ——そもそも、山や自然との出会いのきっかけ、原体験は何だったんですか? 宮城県仙台市で育ったのですが、子供の頃に川遊びや川釣りのために山に入ったのが原体験です。渓流釣りをするために山に入り、湖や沼にも行き、最後は海へと。 山を舞台に川が流れて、やがて海になる。そういうプロセスをぼくは釣りや川遊びを通じて体験していたんですね。当然その頃は、そんな風に意識はしていませんでしたが。 ——はじまりは釣りだったんですね。釣りの魅力って何でしょう? 釣りって、餌とか仕掛けにも創意工夫がすごく必要で、かなりクリエイティブなんですよ。自然を相手にして、人間がその場で出来ることを試行錯誤して挑むっていう。まさに自然体験の原体験ですね。 ——文脈登山のように、山や自然に物語が隠されていると気付いたのはいつ頃からなんでしょうか? それはずっと後で、30に入ってからですね。憧れの東京に進学で上京して、ガシガシと仕事ばかりしていましたが、田舎生まれ田舎育ちの自分としてはどこかフィットしない感覚があって。ちょっと都会に合わせようとしていたっていうか。そんな時、たまたまですが宮城に帰る新幹線の中から見た雪の奥羽山脈を見てハッとしたんです。 そうだ、自分は小さい頃から雪をかぶった山を見たて育ったんだよなと。 そういう自然とか山からは、しばらく離れていたので。自然っていいな、山ってすごいなって、久しぶりに感じたんです。 ——そこから再度自然に触れるように? そうですね、ぼくは地図が好きなんですが、東京の地図を見ると実は身近なところに自然がたくさんあることにあらためて気付きました。 そこから東京近郊の山に行き始め、武田信玄や源頼朝のエピソードに「山」で出会うようになり。東京にはしばらく住んではいましたが、イメージが変わったというか。こんな面白さがあることを知らずして、本当の東京は語れない、まさに宝の山だって思いました。 山と歴史は、切り離せないもの ——『文脈登山』の軸として、歴史と文化、というものがあると思いますが、歴史はどのように学ばれたんですか? 20代の終わり頃から、歴史小説を読み始めたんですよね。そこからどっぷりとハマって。小説の良さというのは、点ではなく線、ストーリーで時代や人の流れを知ることができるということだと考えています。小説や地域伝承で文脈を理解し、気になった場所をインプット、そして実際に山へ足を運んでみる。そんなことを繰り返していました。 ——気になった場所ですか。普通の人だったら読み飛ばしてしまいそうな部分ですよね。 そうかもしれませんね。そこはご縁というか、目に留まった、気になったことは自分にとっては必然的な出会いなんだって思っています。そして実際にその山まで足を運ぶんです。そうしているうちに、山と歴史という別々に好きだったものが繋がっていきました。そこからは、山について触れられている文学にたくさん触れるようになり。 ——小説や文学を起点に歴史を知って登山に、ということですね。特に影響を受けた本はありますか?...