バージョンアップではなく、新しいものを作りたい。純粋な「好き」「楽しい」から生まれるピノワークスのものづくり
公開日test:20180507作成日test:20201128
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「わりと手先が器用なほうなんだと思いますよ」 革製品をほぼ手縫いでつくる洋俊さんは、控えめにそう語る。ピノワークスは、佐藤夫妻が営むレザークラフトのキャンプ道具ブランド。金属製の道具がまだ主流だったキャンプ道具のなか、革製の道具を先んじて生み出し、多くのファンを獲得していった。今回は自宅の一角をDIYしたというアトリエにお邪魔し、そのマイルドな中に秘めたものづくりへの情熱を語ってもらった。 ピノワークスの佐藤洋俊さん 自分が欲しいものを作ったら、みんなが欲しいものだった ——ピノワークスはご夫婦でやられているとうかがいましたが、もともとはどんなお仕事をされていたんですか? 社会人のはじめは店舗のカウンターなどを作る家具屋をやっていました。その仕事がしたくて就職したかっていうとそうではなく、自然な形で働きはじめたんですよね。そのあと内装の仕事を長年やって独立しました。今は基本的にはこのピノワークス1本で仕事をしていますが、仕事歴で言えば内装の仕事が一番長いです。 ——キャリアとしては革の道ではなかったんですね。ピノワークスはどの商品も革で作られていますが、そこは何かこだわりがあったんでしょうか? むかしから革が好きで靴にはすごくこだわっていたんです。匂いも好きだし、手入れも好きで磨きだしたら止まらない。前世は靴屋だったかもしれないですね(笑)。もうボロボロではありますが、ダナーライトは20年くらい使っています。 ——革好きが高じてそのままブランドへ? キャンプ仲間でこういうのあったらいいよねってキャンプ道具の話をしていくうちに自分で作るようになったんです。その頃から革を使った道具を作るようになりました。キャンプでは火を使うことが多いと思いますが、熱に強いことが大事って考えると必然的に革になったんですよね。その頃はまだ革を使った道具って見かけなかったので、『ないなら作ろう』って作りはじめました。 ——でも最初はレザークラフトもゼロからのスタートだったってことですよね? はい、レザーの裁断や縫製も特別どこかで学んでいたわけではなくて独学です。本やyoutubeを見て学んでいきました。 ——はじめて作った道具はなんだったんですか? 最初はシェラカップのハンドルカバーです。仲間うちでそれぞれ色違いで持ったらいいなと思って作ったんですけど、それをインスタで投稿したら欲しいっていう人が他にもいらっしゃり広がっていきました。 日々改良を重ねているそうだが、これが初期の頃のハンドルカバー あとはガス缶カバーも革で巻けそうだなと思い作ってみました。当時は丸い形がなくて、穴のピッチの最適解なども手探りで見つけ出して行ったので大変だったんですよ。 ——当初はブランドを立ち上げようというつもりだったわけではなく、自分たち用に欲しいから作ったんですね。 そうですね、欲しいから作ろうと。それが2014年だったと思います。その年中にブランドとしてはじめました。当時からキャンプ道具の情報を得ようと思うとSNSや個人のキャンパーさんのブログを頼りにすることが多かったんですよね、それでうちの商品も知ってもらえるようになりました。 家の1階をDIYして設けたアトリエ。基本的に佐藤さんご夫婦はここで手を動かす ——今でこそSNSでのキャンパーの横のつながりは目をみはるものがありますが、当時からコアな方は見ていたんですね。手応えはあったとは思うんですけど、ブランドとしてやっていくことに不安はなかったのでしょうか?...