04 その時の季節 〜野川かさね エッセイ〜
公開日test:20190221作成日test:20201128
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山のどの季節が好きなのかと聞かれると 答えに困ってしまう。 いつの季節を歩いても楽しいというのが その返答に困る理由のひとつではあるのだけれども、 1番の理由は、季節というものは はっきりと区切られているものではないと思うからだ。 山を歩いていると、 流れる時のなかで 自然の小さな変化のひとつひとつが その日、その時の季節であって、 その季節が連なって存在しているように 感じるようになった。 そんなふうに季節が見えはじめたのは いつ頃からだったろう。 何度も同じ山を、道を歩くことが 好きになったのも同じ頃だった。 そして、東京の街も同じように 季節を重ねていることに 気づいたのもちょうどその頃だったと思う。 きっと山も街もずっと前から...