自然のエネルギーを感じられるギフトを作りたい。飛騨の木で特別を届ける”ひだ木フト”中富さん・盤所さん
公開日test:20180607作成日test:20201128
new表示test:
山に入ると、街では感じられない自然のエネルギーを全身で感じる。空気の清涼感、やわらかく包み込む香り。木が生み出すものは、私たちが頭で思っている以上に豊かで、尊い。 ここ飛騨の地に移住し、飛騨の木に魅せられた2人の女性がいます。 もともと広島でウエディングプランナーの仕事をしていた中富さん。北海道出身で人材系の仕事をされていた盤所さんがその2人。お2人が事務局として携わる”ひだ木フト(ひだぎふと)”という飛騨市の新たな取り組みは、飛騨と人と自然をつなぐ、みんなにとっての「ギフト」でした。 結婚という人生の節目に、木のギフトがあっていい ウエディングプランナー時代に感じていたちょっとした違和感。人生の節目である結婚とその式に呼ぶ大切な方々へのギフトが、どこの誰が作ったものか分からない大量生産のものなのはなぜなんだろう?中富さんが当時から感じていた考えが、飛騨の地でかたちになります。 中富さん「ウェディングのギフトってカタログの中から選ぶのが一般的なんですね。アイテム数は多いんですが、仮にあまりピンとくるものがなくても無難だからそれらを選んじゃったりしてしまいがちなんです。木ってあたたかいし、丈夫だし、年輪によって経過を楽しめるから、本来ブライダルにぴったりなはずなんですよ。思いがあって作られているものを渡したいって思う新郎新婦もいますから、もっとできることがあるはずって思っていたんです」 盤所さん「飛騨にあるいいものを見せるという取り組みを個人でしている中で、飛騨の職人さんと連携して商品を作る、というこの”ひだ木フト”のプロジェクトが市でスタートしたんです。木のものは普通のものより高いし量産品ではないので、人生の節目節目で使われてほしい特別なギフト。中富さんの想いを聞いて、このプロジェクトのスタートとしてぴったりなんじゃないかと思い、ウェディング用の商品開発をすることになりました」 (左) 北海道出身で、結婚を機にご主人の出身地である飛騨に移住した盤所さん (右)飛騨市で地域おこし協力隊として勤務する中富さん 中富さんが想いを語り、盤所さんはそれに対して道を示し、かたちにする。お2人はまさにニコイチな関係でこの”ひだ木フト”を進めています。 作ってたのしい、もらってうれしいの両立を目指して 盤所さんが飛騨で式を挙げたとき、せっかくならそこで使う食器やギフトも飛騨のものにしたいと考えていたそうですが、そのためには持ち込み料がかかるという壁に当たったそう。参列者へのギフトで言うと最近はカタログギフトから好きなものを選ぶ、というスタイルが定着しつつありますが、実はその返信率は4割程度だと中富さんはいいます。せっかくの新郎新婦からのギフトなのに、半分以上の方がそれをいただかずに終わってしまっているという事実があるのです。盤所さんはカタログギフトをギフトにせず、テーマを決めてできるだけこだわって式場から提示されたリストから選んだそう。 仕事としてかかわっている中で感じた違和感と、実際に当事者になって感じた違和感。2人のウェディングの対する想いが重なります。 木材は飛騨市の広葉樹(小径木)を有効活用(提供写真) ただし、持ち込み料がかかる前提で商品を開発してもニーズはあまりありません。結婚式を彩るうえで新郎新婦が自由にコーディネートしていい範囲の中で、飛騨の木を用いた商品を提供できたらと開発を進めたといいます。 一方で、もらう側はうれしいものでも、それの作り手も前向きに取り組めるものでなければ本質的にはいいものにはならないということも2人は理解していました。画一的でやっつけ作業になるようなものを作っても、2人の想いからはずれてしまうのです。 職人さんとの打ち合わせ風景(提供写真) 飛騨市は人口も少ないため、木工が盛んであっても個人工房が多く、職人も各々が満足いく製品をお客様に届けられたらという想いでやっています。だから彼らが喜んで作ってくれるものにしなくてはいけません。2人はその想いを職人と直接共有し、もらった人の顔が想像できるような商品づくりを目指しました。いわゆる要件をまとめて発注する、といったもっと簡単なやり方はいくらでもあった中で、それだけはやりたくなかったといいます。 リングピロー:家で指輪の置き場に困っているという声を聞き、シンプルに美しく保管できるものとして開発...