黒部源流の秘境に一番近い道、幻の伊藤新道 [前編] 歴史とロマンのアドベンチャールートが復活
公開日test:20211215作成日test:20211215
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北アルプス黒部源流の秘境・雲ノ平と、その玄関口である三俣山荘。 簡単にはたどり着けないからこそ人々が憧れるその場所に、かつて最短で到達できたものの廃道となってしまった登山道「伊藤新道」があったことをご存じでしょうか? そのルートが2022年に待望の再開通を迎えるということで、新しい橋を架ける工事に密着。その様子と、実際に歩いて感じた魅力をお伝えします。 黒部源流の開拓を支えた道、伊藤新道 三俣山荘図書室ギャラリーより 歴史上の廃道で、熟練者のみが通ることを許された幻の道。 実際に訪れるまでは、私の中で伊藤新道はそんなイメージでした。 三俣山荘図書室ギャラリーより 登山道の開拓エピソードが綴られた山岳書籍『黒部の山賊』は、山を愛する人ならば山小屋などで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。もちろん、山が大好きな我が家の本棚にも並んでいます。 しかし冒頭に描かれた当時の地図を眺めては、あぁ昔はこんなすごい場所があったのか。と、どこか遠い歴史の出来事のように感じていて、とうとう足を運ぶ機会はありませんでした。 出典:kumonodaira.net 伊藤新道とは、この本の著者である故・伊藤正一さんが、三俣山荘と雲ノ平山荘の建設のために黒部の山賊とともに開拓したルートです。 黒部源流の美しさに見せられた伊藤さんの「雲の平の絶景を見せたい」という想いで作られたその道は、登山ブームが始まった昭和31年に開通。 1日に500人を超える登山客が訪れるほどの人気ルートとなりましたが、それはそう長くは続かなかったと言います。 原因は、道全体を覆う地盤である熱水性変質した花崗岩の脆さ、吊り橋ワイヤーを侵す硫化水素、高瀬ダムの建設により地下水圧の影響等でみるみる崩れていく登山道。同時に交通の制限もあり、登山客が激減。 手入れもままならず、ルート上の吊り橋は5本全てが落ちてしまい、昭和58年を境に通行困難な廃道となってしまいました。 こうして幻となった伊藤新道ですが、その歴史が再び動き始めています。 実は現在も整備が進められており、なんと来年2022年の開通を予定しているとのこと! そこで今回は念願の伊藤新道を歩き、新しい橋を架ける工事に立ち会わせていただきました。 アドベンチャールートとしての復活...