【自然ビト #10】僕にとってテンカラは、やればやるほどおもしろい、答えのないもの/フォトグラファー高橋博正さん
公開日test:20180427作成日test:20201128
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アウトドア好きな方の人生観やアウトドアライフに迫る「自然ビト」。第10弾は、東京から故郷・長野県伊那市にUターンし活動しているフォトグラファーの高橋博正さん。もともとスーパーが入っていた建物を「山の上スタジオ」と言う名の撮影スタジオに自らリノベーションをし、時間を見つけては大好きなテンカラに没頭中。そんな高橋さんのアウトドアヒストリーとは? 「川に行くだけで気持ちいい」小学生からハマったフィッシング ——まず、高橋さんのアウトドア歴を教えてください。 アウトドア歴は、釣り、キャンプ、カヌー、ウインドサーフィン、マウンテンバイク、自転車のトライアルなどさまざまです。釣りは保育園児の頃から親父に付き添って行ったのをきっかけに、そのままずっとしていますね。中学生の頃はカヌー、ウインドサーフィン、マウンテンバイクなどを近所の高遠ダムで必死にやって。高校生になってからは、山岳部に入っていたので登山をしたり、自転車でキャンプ道具を持ってツーリングに行ったり。あと、高校時代に1年間カナダに留学していたので、向こうでもキャンプやカヌー、釣り、スキー、クライミングとか色々やりました。 お話をうかがった高橋博正さん(43歳)。留学先のカナダで釣りをしていた時に撮った写真がきっかけで、カメラの魅力に惹き込まれたそう ——かなり多彩! なかでも、釣りがお好きだとお聞きしましたが。 小さい頃って、生き物に興味を持つじゃないですか。そういうこともあり、釣りはやっていて単純に好きでした。だから大人になった今も続けているんだと思います。こっちの川は行くだけで「気持ちがいい」というのは、小さい頃から感じ取っていましたね。小学低学年になると、今度は親父とではなく気の合う仲間と川に行って、その場で釣った魚を焼いて食べて。そうするとバーナーとかランタンとかナイフとか、アウトドアグッズが欲しくなるので、ちょっとずつ買ってもらったり、自分で買ったりして揃えていきました。 目前に見えているのは南アルプスの鋸岳。とても気持ちのいいロケーションです ——釣りにもルアーやフライなど、色々なジャンルがありますよね。 僕の場合は、テンカラ(*1)です。小中学生の頃はエサ釣りをしていましたが、1日自転車で移動しまくっても、せいぜい釣れるのは3~5匹くらい。でも大人になって、魚の生態や川のことを理詰めで考えるようになり、テンカラに転向したらバンバン釣れるようになったんです。魚さえいれば、1日100匹釣れることもあるほど(笑)。エサだと20cm~25cm釣れればいい方だったけれど、テンカラにしたら尺上(30cm以上)サイズが釣れるようになりました。 (*1)テンカラ:日本の伝統的な毛ばりを使って釣りをするスタイルのこと。おもに河川上流域の渓流を釣場にしている 取材中、ものの数分で高橋さんが釣り上げた尺上のイワナ。美しいです ——30cmも超えると大物クラスですよね。高橋さんが思うテンカラの魅力って何でしょう? 尺上をネットに入れるまではとても大変で、さらにテンカラは細い糸でやるから、余計に難しい。でも、だからこそおもしろいと思います。 愛用しているのはSHIMANOの渓流竿「ZL」 それを“中通し”に独自改造して使っているそう。なんでもこの仕組みが便利なんだとか 高1で出会った、「フライタイイング」の世界 ——高橋さんは自分で毛ばりを巻いているんですね。 釣りをしないでこれだけを趣味にしている人がいるくらい、フライタイイング(*2)もおもしろいんですよ。それどころか、魚でも虫でもなく、フライ(疑似餌)の絵を額に入れて売っている人がいるくらい。この世界は奥が深いんです。渓流業というのは、冬の間は釣りができないので、冬の間はやることがない。だからみんな春を夢見てフライを巻くわけです(笑)...