12 山を見る 〜野川かさね エッセイ〜
公開日test:20190618作成日test:20201128
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山登りをはじめるまで、 山は眺めるものだと思っていた。 連なる山々を遠くの場所から望み、 あれはなんという山なのかと 名前が記してある看板とにらめっこをしていた。 「山」はただ「山」というひとつの固まりだった。 でも、いまは違う。 天気が悪く、山の全容が望めなくても たとえその山を歩いたことがなくても、 山のなかにあるだろう風景に思いをめぐらせ、 あたまのなかの山歩きを楽しむ。 シャクナゲやイワカガミの花が咲き、 ウソやホシガラスが飛びかっているのだろうか。 登山道の雪はまだ残っているのだろうか。 そんな風に想像することで 「山」はただの「山」ではなく 多くの生き物たちや光景を包み込んだ 存在として私の目の前にたちあがってくるのだ。 投稿 12...