18 リンドウの花 〜野川かさね エッセイ〜
公開日test:20191007作成日test:20201128
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歩いていると道のわきに 2種類の異なったリンドウの花があることに気づく。 立ち止まり、図鑑をしらべてみると、 ミヤマリンドウとエゾリンドウだった。 一方は茎にてっぺんにまとまって、 もう一方は茎に沿って両側に連なりながら 花を咲かせる。 リンドウの花たちが咲きはじめると 山は秋の盛りで、 そして、同時に山は冬への準備がはじまった合図。 このことを教えてくれたのは 山小屋のご主人だった。 「きれいな紫色の花が咲いていますね」という 私の言葉を聞くと、 「もうすぐ冬だね」と言った。 私がただきれいだと眺めていた花が 見る人によっては全く違う見方をしていることに 驚き、感動したのを覚えている。 そして、目のまえの景色をひとつの点でしか 見えていない自分に気づき、もっと山のことを知りたくなった。...