20 森の欠片 〜野川かさね エッセイ〜
公開日test:20191103作成日test:20201128
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苔の森を歩いていると ところどころに雪が残っている。 すこしまえ、東京でもぐっと気温が下がった日があった。 このあたりの山では雪が降ったのかもしれない。 雪は溶けかかり、分断され、欠片のように 苔の上にちらばっていた。 欠片のふちは氷のように透きとおっていて まわりの苔の緑を自分のなかにとり込んで、 ぼんやりと淡い緑色にひかっている。 今日は晴れの予報。 陽に照らされれば、 欠片はあとかたもなく消えてしまうだろう。 自分自身が森のなかにすいこまれていくことも知らずに、 雪の欠片はつかのまの輝きを見せる。 投稿 20 森の欠片 〜野川かさね エッセイ〜 は...